Tol2 トランスポゾンシステムを用いた簡便で高効率なトランスジェニックマウス作製法と新しいBACトランスジェネシス法
Genomics誌2010年2月26日(Epub)/BMC Genomics誌2009年10月16日(Epub)
斎藤研究室(集団遺伝研究部門)
川上研究室(初期発生研究部門)
1) A simple and highly efficient transgenesis method in mice with the Tol2 transposon system and cytoplasmic microinjection.
Sumiyama, K., Kawakami, K., and Yagita, K.
Genomics 95(5) 2010. doi:10.1016/j.ygeno.2010.02.006

2) Transposon-mediated BAC transgenesis in zebrafish and mice.
Suster, M.L., Sumiyama, K., and Kawakami, K.
BMC Genomics 10, 477, 2009.  doi:10.1186/1471-2164-10-477


  遺伝学実験に欠かせないトランスジェニックマウスの作製にはプラスミドDNAを受精卵の前核に微量注入する方法が一般的に用いられていますが、トランスジェニック系統を得られる効率は3%程度とあまり良くありません。国立遺伝学研究所の二研究室の共同研究により画期的に効率を改善する方法が開発されました。外来DNAをクローニングした Tol2 トランスポゾンベクタープラスミドと転移酵素メッセンジャーRNAを同時に受精卵の細胞質へ注入すると、受精卵の生存率と外来DNAのゲノムへ組み込み効率が飛躍的に向上し、トータルでのトランスジェニック効率が20%以上に達しました。
 BACを用いたトランスジェネシス法は、ゲノム遺伝子の機能解析やcis調節エレメントの解析に有用な方法ですが、これまでは、低いトランスジェニック効率、コンカテマーとしてのゲノムへの組み込みあるいは組み込み部位近傍の欠失・組換えが原因で起こるさまざまな問題などの欠点がありました。これらを解決するため、私たちは Tol2 ベクターにBACサイズのDNAインサートをクローニングできることを明らかにし、 Tol2 転移システムを用いた新しいBACトランスジェネシス法の開発に成功しました。
  Tol2 転移システムを用いたこれらの画期的な新しいトランスジェニックマウス作製法は、さまざまなトランスジェニックマウス実験、特にハイスループットのゲノム機能解析への応用が期待されます。


説明図
Tol2 転移システムを用いたトランスジェニックマウス作製法の概略図。


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