分裂酵母の種間をつなぐ新しいシャトル便
Yeast誌 オンライン公開中
仁木研究室(原核生物遺伝研究室)
Novel episomal vectors and a high efficient transformation procedure for the fission yeast Schizosaccharomyces japonicus
Keita Aoki, Reiko Nakajima, Kanji Furuya and Hironori Niki
Yeast , 24 : Aug 2010.  DOI: 10.1002/yea.1815


 近年、シークエンス技術をはじめとした実験技術の発展により、分子生物学や遺伝学分野におけるモデル生物は多様化している。また、新しいモデル生物を扱うためのプロトコルは急速に進展、整備されつつあります。国立遺伝学研究所 系統生物研究センターでは、このハードとソフト両面の開発を使命とする国内でも有数の機関です。私たちの研究室では、分裂酵母 Schizosaccharomyces japonicus を用いた遺伝学研究のために、バイオリソースを開発してきました。すでに、遺伝的な掛け合わせを可能にしたヘテロタリック株の単離や、栄養要求性変異体の分離などのリソースの開発を行いました(Furuya and Niki, 2009)。この酵母は、菌糸の形成の誘導等従来のモデル酵母ではできなかった生物現象を研究できる点で注目を浴びています。
 今回私たちのグループでは、 Schizosaccharomyces japonicus の組換えDNA技術開発の一環として、同酵母の中で機能するベクターを開発しました。まずゲノム中から自律複製様配列の分離を行ない、これを使ったプラスミドによる形質転換法の改良を行いました。この新しいベクタープラスミドは、ジャポニカス分裂酵母のみならず、モデル生物として普及しているポンベ分裂酵母でも維持される、いわゆるシャトルベクターです。このプラスミドを用いることで、クローンした遺伝子の発現の効果をポンベとジャポニカスの両酵母で調べることが可能です。また、両酵母で利用可能なゲノムライブラリーを作製できます。本研究の成果により、ジャポニカス分裂酵母の遺伝学的な研究がさらに発展すると期待され、生物遺伝資源開発としても意義のあるものです。
 今回発表したベクターリソースは、系統生物研究センターで運営するJapoNetから分譲を受け付けています。


Figure
a) 本研究で作製したプラスミドの概要。pUC19に自律複製様配列とkanMXがつないである。
b) 本研究で作製したプラスミドは Sz. japonicus Sz. pombe の2つの分裂酵母を形質転換することができる。


JapoNet

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