細胞核構造の制御メカニズム
Nature Structural & Molecular Biology誌 9月号
前島研究室(生体高分子研究室)
Nuclear pore formation but not nuclear growth is governed by cyclin-dependent kinases (Cdks) during interphase
Kazuhiro Maeshima, Haruki Iino, Saera Hihara, Tomoko Funakoshi, Ai Watanabe, Masaomi Nishimura, Reiko Nakatomi, Kazuhide Yahata, Fumio Imamoto, Tsutomu Hashikawa, Hideo Yokota & Naoko Imamoto
Nature Structural & Molecular Biology, Volume: 17,. Pages: 1065-1071 (2010).
Published online: 15 August 2010   doi:10. 1038 /nsmb.1878


 真核生物において、ゲノムDNAは核膜で覆われた細胞核のなかに収められています。その核膜の表面には、細胞質と核質を結ぶチャネルである核膜孔複合体が多数存在しています。細胞周期の進行に伴い、細胞核の体積や核膜孔の数は約2倍に増加することが、今から30年以上前から知られていました(図右)。しかしながら、このような核構造の変化が、細胞周期の制御とどのように結び付いているのか?は全くの不明でした。この問題に答えるため、私たちはまず、細胞核の体積や核膜孔を定量的にイメージングするシステムを開発しました。このシステムを用いて、細胞周期における細胞核の体積変化と核膜孔形成を解析した結果、核膜孔形成が、細胞周期エンジンであるCdks (Cyclin dependent kinases)よって厳密にコントロールされていることが分かりました(図右)。さらに、核膜孔が活発に形成されている核膜表面に"Nascent pore"と名付けた核膜孔複合体の前駆体と思われる構造を発見しました(図左)。また、細胞核の成長はCdksではなく、細胞増殖を制御しているRas/Erk経路に依存すると思われ、核成長と核膜孔形成は異なる制御を受けていることを明らかにしました(図右)。今後、本研究システムを用いて、直径100nm以上の生体超分子複合体である核膜孔複合体の形成過程など、多くのことが明らかになると期待されます。

本研究は独立行政法人・理化学研究所の今本尚子主任研究員、横田秀夫チームリーダー、端川勉ユニットリーダーらと共におこなわれました。Nature Structural & Molecular Biology誌 9月号に掲載され、表紙を飾っています。


説明図
細胞周期の進行に伴い、細胞核の体積や核膜孔の数は約2倍に増加する(右)。細胞周期の間期(G1期からG2期)の核膜孔形成は、細胞周期エンジンであるCdks (Cyclin dependent kinases)よって制御され、細胞核の成長は、細胞増殖シグナルであるRas/Erk経路に依存すると思われる(右)。左イメージはG1/S期の核膜表面に存在する核膜孔形成の前駆体と思われる構造体"Nascent pore"。


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