核・中心体と細胞内小胞の間の『綱引きモデル』の提唱
Press Release PNAS 2011 1月4日号
プレスリリース詳細資料 PDF(628KB) 木村研究室(新分野創造センター 細胞建築研究室)
Intracellular organelles mediate cytoplasmic pulling force for centrosome centration in the Caenorhabditis elegans early embryo
Kenji Kimura and Akatsuki Kimura
PNAS 108 137-142 (2011). doi:10.1073/pnas.1010929108

  細胞の中には、遺伝情報を担うDNAを含む核などのさまざまな細胞内小器官がみられます。また、多くの細胞において、核が細胞の中心に配置することが広く知られています。しかし、核がどうやって細胞の真ん中の位置に移動できるのかについては、謎が残されていました。

今回、国立遺伝学研究所の木村 健二 研究員と木村 暁 准教授は、細胞内に数多く存在する細胞内小胞が、核と「綱引き」をすることにより、細胞の中心に核を移動させていることを突き止めました。この成果は長年の謎であった、細胞核の配置メカニズムの理解を大きく進展させるものです。

<研究成果のポイント>
  • 細胞のほぼ中心に核と中心体が位置することは、19世紀から知られていたが、その配置のしくみについては謎であった。
  • モデル生物である線虫 C. elegans の受精卵を用いて、核・中心体が細胞の中心に移動するために特異的に必要とされるタンパク質DYRB-1(図1)を発見した
  • さらに、そのDYRB-1のはたらきが、中心体から伸長して細胞の骨格を形成する繊維である微小管の上で小胞を輸送する役割も担っていることを発見した。
  • 中心体に向けて輸送される細胞内小胞(図2)の量を減らすと、核・中心体が細胞の中心に移動する速度が顕著に遅くなることを発見した。
  • 中心体に向けて輸送される細胞内小胞などが、核・中心体を細胞の中心に引く力を発生しているというモデル(図3)を提唱した。
  • これらの発見は、細胞内の空間デザインと生命機能との関係を解明する突破口となる。



Figure1
GFPで標識したDYRB-1を発現する線虫卵。白線で囲んだ部分の拡大図を右に示した。微小管様の繊維状に観察される。bar = 5μm
Figure2
GFPで標識したエンドソーム(EE)のマーカーを発現する線虫卵。白矢印は中心体(CS)を指している。下は白線で囲んだ部分の連続写真。移動するエンドソームが確認できる。右にエンドソーム移動の典型的な模式図を示した。
Figure3
提案する核・中心体中央化のモデル図。

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